私の存在価値
一階につき、響は自分のバイクへと近寄っていった。

私『わ、ぁ…。』

見た瞬間思わず声が漏れた。

黒をベースとした車体に金色の蝶が1匹デザインされてあり、下らへんに桜吹雪がえがかれている。

すごく綺麗。
バイクを見入っていると響が話しかけてきた。

響「恰好いいだろ。このバイク。」

私『うん。すごく恰好いい。そして、綺麗。』

響「気に入ったか?」

私『うん、とっても。』

笑みがこぼれた

響「なんだお前、普通に笑えんじゃねえか。」

笑えたんだ、私。
まだ、笑うことが出来たんだ…。

響「お前は笑っている方がいい。ずっと笑ってろ。」

そういわれると嬉しいな。

私『うん。ありがとう。』

響「そろそろ行くか。…これ被れ。」

そう言って渡されたのはヘルメット。
明らかに男もので大きい。

私『これ響のでしょ?悪いよ。』

そう言って返そうとすると、それをとって私の頭に被せた。

響「俺はいい。お前が被ってろ。」

きゅん。

は?きゅん?
響に?ありえないありえない。
勘違いだよ。きっと。

ゴホゴホっ。
やば…。
こんなときに咳が…。

あ…!!
あと少しで薬の時間!!

私『響、ごめん急いでくれる?』

響「あ?…あぁ。よっこらせっと。」

響は私の脇に手をいれて私を後ろに乗せた。

響「飛ばすから掴まってろよ。」

そう言って響はバイクを動かした。
大きな音と共にバイクは前へと走る。

風が気持ちいい。

ヘルメット取りたいな〜。
でもそんな事したらぶっ殺されることが目に見えている。
うぅー。

響「おい、お前の家どこだよ。」

あ、そう言えば教えてなかったっけ。

私『もう少し真っ直ぐ行ったら右に曲って。そしたらコンビニが見えてくるからそこで下ろして。』

響「…家はどこだ。」

私『いや、コンビニで下ろして。』

響「家は?」

私『コンビニでいい。』

私が決して家を言わなかった為、響が折れてコンビニに私を下ろすことになった。

コンビニににつき、私は降りる。

私『響ありがとう。』

響「あぁ。…本当にここで良かったのか?」

私『うん。ここに迎えに来てくれるから。』

我ながらうまい嘘だと思う。

響「本当にか?あ、そうだ。これ俺の連絡先。一応登録しとけ。」

私「うんわかった。じゃあね。」

響「…あぁ。またな。」

響は納得していない様子で帰って行った。

よし、急いで帰らなきゃ。

私は早足でマンションへと急いだ。

マンションにつき、ロックを解除していく。
急いでる時にこういうロック解除とかは面倒だ。

エレベーターに乗り、最上階の番号を連打。
連打してると早く着きそうに感じる。
実際はそうでもないけど。
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