私の存在価値
はっ!

…またあの夢。

忘れてしまいたい過去…
でも、忘れてしまったら二人のことも忘れてしまう気がして、忘れられない。


私『…過去を簡単に忘れられる薬無いかな。
それか、やり直せる薬…。』

ぽつりと静かな空間の中呟く。

そんな薬あったら即使ってるよ。
やり直すなんて非現実的なこと……。

でも、出来たらどれだけ良いだろう。

全てやり直したい。

あの幸せだったあの日に戻りたい…。

私が壊してしまったものを取り戻したい…。

私はそれを思うことしかできない。

私『やり直す事なんて不可能……。』


♬•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪

携帯が鳴った。
画面には"おばあちゃん"

時計を見ると12時50分

私『もしもし』

祖母「あ、夢音?もうそろそろ貴方の家に着くから。」

私『分かった。下に降りてくね。』

祖母「えぇ。じゃあ。」

ピッ

さて、着替えなきゃ。
私は重い体を動かしてクローゼットを開く。
どうせあっちで着替えるからなんでもいっか。

私は近くにあった黒のパーカーと細めのジーンズを取った。
てか、私って毎回黒色の服来てる気がする…。
などと考えながら着替えを済ましていった。

私『えっと、携帯と…それだけでいいか。面倒だし。あ、薬。』

危ない危ない。1番大事なものを忘れそうになった。
簡単な荷物を持って私は家を出た。

私『いってきます…。』

下につくとそこには黒のリムジンが止まっていた。
それに近づくと助手席の窓が空いた。

祖母「お久しぶり。夢音。」

そこにはおばあちゃんが。
3年くらいあってない気がする。
でも、おばあちゃんは全然歳をとっていなかった。
3年前と同じようなハリのある肌。
とても70代とは思えない。
人によっては50代もしくは40代に見える人もいるだろう。それくらいおばあちゃんは綺麗。

やっぱりママのお母さんだなって思う。
ママも綺麗だったから…。

祖母「立ってないで早く乗りな?」

いつまでも立っていた私におばあちゃんは乗るよう促した。

私『うん。』

私は後ろのドアを開けた。
何度見ても変わらない車の中。ミニ冷蔵庫も管理してある。

祖母「喉乾いたらそこの冷蔵庫から出して飲んで良いからね。」

私『うん。ありがとう。』

そう言って私は一呼吸置いてから思っていたことを聞いた。

私『ねぇ、おばあちゃん?もう私が社長になるの?』

祖母「…えぇ。いつかは継いでもらうつもりよ。本当なら今すぐにでも継いでほしいわ。両方とも。」

私『私は…』

できない
そう言おうとした私の言葉を遮りおばあちゃんは

祖母「でも、まだ貴方には社長としての器が足りないわ。私はそんな子に継いで貰いたくない…と考えているわ。今は…だけどね。」

と厳しい言葉を述べた。

私『そ…っか。』

祖母「えぇ。でも、いずれ継いでもらわなきゃならないからその時が来たら貴方には海外に留学してもらうわ。
その心構えだけはしておいてね?」

私『うん…。
ところで、今日私は何をすればいいの?』

私はこれ以上この話をしたくなかったため、話を変えた。

祖母「今日は色々な財閥の方々が来るから私と一緒に挨拶に回ってくれる?」

おばあちゃんは優しい口調で話、私に笑顔を向けた。

私『うん。分かったよおばあちゃん。』

そんなおばあちゃんに私も笑顔を返す。
ニセモノの笑顔を
< 151 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop