私の存在価値
〈 響side 〉

「 結音 」

俺は彼女が通りすぎた後、何故かその名前を呟いた。
彼女が結音な訳が無いのに、何故かその名が出た。
どうしてしまったんだ、俺は。

でも、容姿などが違っても彼女と結音は同じ雰囲気を持っていた。
弱い部分をどうにかして隠そうと強くあり続けようとする。そんな雰囲気だ。

俺もそうだ。他の奴らにお前は強いとか、お前が頼りだなんて言われたへま出来ねぇ。
俺にだって弱音の一つや二つある。
でも、それを無くすにはどうすればいいのだろうか。
誰かに言えるわけもない。
そんな姿見せられるわけがねぇ。

つい最近までそう思っていた。
でも俺は、あいつに。
結音に出会ってあいつにならこんな姿見せていいと思った。
そして結音のそんな姿を見せて欲しいとも思った。

さっきから結音の事しか頭に浮ばない。
それほど俺は彼女にぞっこんらしい笑

そんな事を考えていると離れたところで俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
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