顔も知らない君へ
ある日の休み時間。
みんなでトイレに集合してタバコを吸ってた。
6人一斉にトイレに駆け込むなんて、今考えたらバレバレだよね(笑)
もうすぐ授業が始まるか、って時に三人はトイレから出て言った。
授業は受けるべき、っていう真面目な子たちと、単位ギリギリだった由佳の三人。
で、アタシと千里と美恵の三人が残った。
チャイムが鳴ると、しばらくして千里がタバコの火を消した。
窓から吸い殻を指で飛ばして捨て、また新しいタバコに火をつけた。
話題は何だったか忘れたけど、多分リスカの話だったと思う。
アタシ自身、リスカはしたことなくて。
今でこそ誰でも知ってるような言葉だけど当時は認識してる人は少なかったと思う。
千里は笑いながら『あぁね、したことあるわ』って言ってた。
よく携帯小説を読んでるとリスカをした子は死ぬつもりじゃなくて、自分を安心させる為だって書いてるのを見るけど、千里は違った。
『死のうと思ったから』
笑顔でそう言ったんだ。