嘘つき天使へ、愛をこめて
▽嘘
信じられない
今日の月明かりはやけに明るい。
あたしにつきまとう真っ黒な影が、大きく斜めに伸びて、どこまでもどこまでもついてくる。
気を抜いたら、自分の影に飲み込まれてしまいそうだ。
四方八方から感じる視線を真っ黒なローブで受け止めながら、あたしはさらに深くフードを被り顔を隠した。
人気のない閑散としたここのビル通りは、深夜になると不良のたまり場となるらしい。
特に裏路地は、決して女が足を踏み入れてはならない場所。
それほどここは一般市民にとって、危険地帯だ。
いつ襲われてもおかしくない。
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