嘘つき天使へ、愛をこめて
というか、全員分のコップもない。
我ながらどうここで生活しているのか不思議になるくらい、色々、足りない。
「ごめん」
謝りながら出ていくと、皆は気にするなとでも言いたげに笑ってくれた。
ほっと安堵して、あたしも座ろうとすると突然ぐらりと視界が揺れた。
「っ……!」
あ、やばい、と思ったが否か、倒れかけた身体をいつの間にかそばにいた雅が受け止めてくれる。
「大丈夫か」
雅にしてはやけに真剣な声音に大丈夫だと頷いて見せるけれど、目眩はなかなか収まらない。
「どうした、サリちゃん大丈夫か」
「何!?立ちくらみ!?」
「……?天……じゃない、サリ……?」
「お前らうるさい。目眩がする時に騒いだら悪化するだろうが」
メンバーも口々に声をかけてくれる。
櫂が正論で宥めていることに思わず笑いそうになりながら、あたしは雅の腕に掴まった。
「ごめん、ありがと雅」
「また目眩?」
「ああ、うん、いつもの。貧血でね」
最近、さらにこういう事が多くなった。
頭痛も吐き気も目眩も倦怠感も、日に日に少しずつ強くなっていく。
時間が時間だ。
タイムリミットは、もしかしたらもう半月もないかもしれない。
どんどん身体を蝕んでいく病というよりも、一歩ずつ死に歩いて行っているこの感じ。
嫌な、ものだ。本当に。