嘘つき天使へ、愛をこめて
離れたくない
◇
雅たちが帰ってきたのは、明け方だった。
あたしは泣き疲れていつの間にか寝ていたらしく、大翔に揺すり起こされて目を覚ました。
寝る前よりも頭痛は和らいでいて、あたしはなんとか起き上がり、大翔とともにリビングへと降りる。
「まだ痛むか?」
「……大丈夫。これくらいなら」
扉を開けると、皆が一斉にこちらを向いた。
あたしは思わず息を呑む。
傷だらけだ。
みんな、どこかしらから血が出ている。
いったいこの一晩でどんな抗争をしてきたのだと、あたしは何も言えずに立ち尽くした。
「……サリ」
「っ……雅」
雅が定位置の一人用ソファから立ち上がり、こちらへ歩いてくる。
あの雅でさえも、口元が切れて腫れていた。
とても痛々しくて、あたしは戸惑う。
雅はあたしの目の前で立ち止まると、後ろにいる大翔を気にする様子もなく、あたしの顔へ手を添えた。
どきん、と心臓が音をたてる。