嘘つき天使へ、愛をこめて
「あ、あたしはいいから!みんなの手当、しなきゃでしょ。ほら、雅も口切れてる」
「良くない。サリ、話を逸らすな」
雅はあたしの手をとると、部屋へ引き込む。
よろけたあたしを受け止めると、そのまま俵担ぎのようにあたしを抱き上げ、雅のソファへと降ろした。
ここまでほんの数秒。
抵抗する間もない。
「サリ」
「……っ」
「大翔さんと、どういう関係なんだ?」
雅はその場にしゃがみこみ、あたしを下から覗き込むようにして訊ねる。
いつもの雅じゃない。
口が切れてるとか、そういう事ではなくて、動揺を隠しきれていないような。
どう伝えればいいか迷った。
少し考えて、あたしは小さく唾を飲み込む。
「……前に話したよね。母親は病気で死んで、父親はあたしを捨てたって」
雅、そして幹部メンバーたちはそれぞれ頷く。
大翔だけは感情の読めない顔で、壁に寄りかかり俯いていた。