嘘つき天使へ、愛をこめて


そしてあたしは服の上からローブを羽織る。

初めてここを訪れた日以来の着心地だった。


身体が包まれているからだろうか。

これを着ていると、不思議と落ち着く。


あたしは足音をたてないように忍び足で部屋を出た。

そっと階下を覗き込むと、リビングの扉はしまっていて廊下には誰もいない。


覚悟を決めて、早足でけれど足音をたてないように気をつけながら階段を降りる。


リビングの前を通る時、一瞬だけ躊躇しながらあたしは更に下へと降りていった。


意識を飛ばしてから、軽く八時間。

現在の時刻は午後二時。

そして今日は休日だ。


雅たちはいずれあたしがいない事に気づくだろうけれど、それまでに下っ端の人たちと出くわしでもしたら即終了。


こんな身体である以上、恐らく大翔に引きづられてでも連れ戻されるだろう。
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