嘘つき天使へ、愛をこめて


大翔さんに言われて、サリの様子を見に行っていた唯織と櫂が戻ってくる。


サリは、また倒れた。

俺が大翔さんと話している間に。

いや、正確にはまともに話す暇さえもなく、今に至っているわけだけれど。


「まだ寝てたよ、サリっぺ」

「……本当に寝ていただけか?」


大翔さんが落ち着かない顔で唯織を見る。

唯織と櫂は顔を見合わせて、頷いた。


きっと大翔さんはサリの秘密を知っている。

どう考えても、大翔さんのこういう余裕のない態度は普通じゃない。


それでも話そうとしないのはサリに口止めされているから、なのだろうか。
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