嘘つき天使へ、愛をこめて


「なんで、言わないんだよ」


思わず、俺はそう吐き出した。


柊真が落ち着けと肩を抑えてくるが、落ち着けるわけがなかった。

これはもどかしいどころの話じゃない。


相手が大翔さんでなければ、一発ぶん殴って吐かせていたくらいだ。


「……ねえんだよ」

「あ?」

「……そんな、あまっちょろいもんじゃねえって言ってんだ。雅」


大翔さんは厳しい目で俺を見る。

あまっちょろい?俺が?


「お前らは、サリのことが背負えんのか。あいつを救ってくれんのか。この俺にさえ頼らねえあの馬鹿を救ってやれんのか!?」


「ひ、ろとさん……?」


大翔さんが感情を取り乱して叫ぶところなんて、初めて見た。


俺だけではなく、みんなが呆然としたように大翔さんを見つめる。

その肩は、ふるふると震えていた。
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