嘘つき天使へ、愛をこめて
「……俺は失いたくねえんだ、もう二度と」
それなのに、と大翔さんは思い切り机に拳を叩きつけた。
ガンッ!という激しい音が響き、玲汰がびくりと肩を揺らす。
「どういう、意味なんですか、それ」
さっきから、どうも引っかかる。
『死なせてたまるかよ』
『失いたくねえ』
まるで、サリがそうなるかのような言葉に心臓が嫌な音を立てていた。
どういう、意味なんだよ……。
大翔さんはまた口を噤んでしまう。
強く握りしめた拳の中は、爪がくい込んで今にも血が出てきそうな勢いだった。
「……倒れる、前に」
珍しく玲汰が口を開く。
動揺が隠しきれないように、その瞳がゆらゆらと揺らいでいた。