嘘つき天使へ、愛をこめて




「絶対に捜し出せ!」

「「おっす!」」


俺は緊急収集をかけたガキ共に、命を下す。

昨日あれだけ暴れ回った後で皆も疲れているだろうが、それどころじゃない。


「いいかお前ら、見つけたらまず俺のスマホに連絡しろ。即刻だ」


「「うっす!」」


柊真が続けて命を下す。

唯織と玲汰はすでに捜しに出ていった。


……サリが消えた。

そのことが未だに受け入れられない。


けれど、思えばずっとこうなるのではないかと予感していた部分があった。


サリはいつだって触れれば消えてしまいそうなほどに曖昧だった。


存在が、それこそ天使のような。

幻を見ているのではと思ってしまうほど。


下っ端のガキ共が、それぞれ散り散りになって四方八方へ駆けていく。


昨日の今日だ。何があってもおかしくない。

こんな状況で、あんな状態で、サリはいったいなにを考えていなくなったのか。


大翔さんは、ひたすらにサリのスマホへ電話をかけ続けているが繋がらないらしい。
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