嘘つき天使へ、愛をこめて
「……お前は、失う覚悟があんのか」
「ありません。んなの、ある訳ねえ。でも俺はサリを離さない。離したくない」
たとえ矛盾していても。
「だから教えてくれ。サリは俺たちになにを隠してる?サリはなんでいなくなった?」
もうこの想いを誤魔化したくはない。
大翔さんは俺の瞳を見つめ、それから何かを諦めたように深い溜息をついた。
「覚悟もねえ。離したくねえ。飛んだわがまま総長様だな、お前」
「どうでもいいです。俺は俺のまま強くなりたい。もう二度と大切な人を失うのはごめんなんだよ」
「ったく、成長したのかグレたのか分かんねえな」
来い、と大翔さんは顎をしゃくった。
俺たち三人は、階段を上がっていく大翔さんの後をついていく。
玄関をあがり、リビングのソファにどかっと腰を下ろした大翔さんは俺たちにも座るように言った。