嘘つき天使へ、愛をこめて


「で、でも、大翔、いずれは愛美さんと結婚するんでしょ?あたしがいたら邪魔じゃない。そんなのやだよ」

「邪魔なわけあるか。……つか、最初に言い出したのは愛美の方なんだよ。咲妃の娘なら私の娘みたいなもんよって」

「あ、あの超絶美人な愛美さんが!?」


思わず大声をあげたら、また頭が痛んだ。


皆が慌てたように一斉に腰を浮かせるのをみて、あたしは「たはは……」と苦笑する。

全く、揃いに揃って心配性な人達なんだから。


「……だからどうだ、サリ」

「ほんとに、いいの……?」

「良いに決まってる。遠慮なく俺の娘になれ」


ぽろり、と瞳から涙が流れた。

最近、涙腺が緩みっぱなしですぐに涙が出てきてしまう。


一ヶ月前とは大違いだ。

感情も何もなかったあたしが、今はこんなにも泣いたり笑ったり驚いたり忙しない。


あたしは涙を指の腹で拭いながら、こくんと頷いた。


「ありがとう、大翔」


そう言って笑うと、大翔は酷くほっとしたような顔で深く息を吐いた。


「正直断られたらどーしようかと思って、なかなか言い出せなかったんだよな」

「そうなの?」

「そうだよ。んだってのに、雅お前、俺より先に家族になりたいとか言われやがって」


大翔に睨みつけられ、雅は何故か勝ち誇ったような不敵な笑みを見せた。
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