嘘つき天使へ、愛をこめて
「……ねえ、雅」
「ん?」
この世界はいつだって不平等で。
皮肉なくらいに、いつだって理不尽で。
「好きな人と結ばれるのって難しいよね」
だから、たとえお互いが好き合っても結ばれないことなんて幾千とあるんだ。
――……ママと大翔のように。
「確かに、難しいと思うよ。
こんなにも世界に人が溢れている中で、たったひとりの相手に互いに恋をして両想いになるなんて、まるで奇跡だから」
奇跡、か。
そうかもしれない。
あたしだって、両想いになんてなれるわけがないと思っていた。
……いや、恋というものをしてはいけないと思っていた。
それは、気持ちを伝えてしまった今も変わらない。
あたしのせいで、雅が傷つくことになるのは嫌だから。
重荷を背負わせてしまうのは、絶対に嫌だから。