嘘つき天使へ、愛をこめて
わからない
「サリちゃん、昼は?」
そうこうしているうちに午前中の授業が終わり、昼休み。
眠気に耐えきれず、ふわぁと欠伸をしたあたしに、唯織が声をかけてくる。
「……いらない、お腹空いてないから」
「え、マジ?昼だよ?そんなに朝食べたの?」
信じられないといった様子で目を見開く唯織と柊真。
そういえば、朝も食べてないっけ。
「別に。……水あるからいらない」
「水は飯じゃねぇって」
頑なに要らないと言うあたしに唯織は不満げな顔をしながらも、他のメンバー達の注文を聞いていく。
どうやら彼がみんなの分まで購買まで買いに行くらしい。
驚いたことに、総長の雅含めクラスの全員が授業をサボることなく受けていた。
櫂はなぜかノートパソコンをずっとカタカタ鳴らせていたし、玲汰はずっと寝ていたりと……まあ、授業態度は褒められたものではなかったけれど。
それでもサボらなかったというだけで族である事を疑ってしまう。
どこまで真面目な族なんだろうか。
一体何を目指してるの?この族は。
あたしは溜息をついて、鞄から水の入ったペットボトルを取り出して立ち上がる。