嘘つき天使へ、愛をこめて
……とことん、みんな自由だよね。
諦めてメンバーの観察でもしようと顔を巡らせると、そこに一人足りないことに気づいた。
雅、櫂、唯織、柊真……あれ?
そういえば玲汰は?
「ねえ、櫂」
「なんだ」
「玲汰は?」
櫂は眉間に皺を寄せながら顔を上げる。
「玲汰……?ああ、多分そこら辺で寝てるんだろう。廊下あたりで行き倒れてるんじゃな……」
櫂の言葉を最後まで聞く前に、あたしは慌ててリビングを飛びだした。
そこには案の定、廊下の冷たい床にスースーと気持ちよさそうに寝息を立てている玲汰の姿。
リビングに辿り着く前に力尽きてしまったのだろうか。
でもいくら眠いからってこんな所で……。
ああもう、ホントに手間のかかる……!
「玲汰!起きて、こら玲汰!」
「……んん……なに、天使……」
「だから天使じゃないってば!こんな所で寝たら、風邪引くでしょ!?ほら立って、リビング行くよ」
半分も瞼が開いていない玲汰を無理やり立たせ、背中におぶるようにしてリビングへと引きずり込む。