嘘つき天使へ、愛をこめて
「フツーに生きればいい。そんな所に足を突っ込まないで、与えられた環境で幸せに生きればいい。違う?」
なにかにとても、イラついている。
一気に捲し立てて、クラッと目眩がするもなんとか地面を踏みしめ意地で雅を睨みつけた。
雅はそんなあたしを静かに見つめ、数拍置いてから言葉を探すように慎重に口を開いた。
「……無理に分かってもらおうとは思わないけど、サリも知ってるんじゃないかな。この世界が理不尽の継ぎ合わせだってこと。幸せ、なんてそう簡単に手に入らないこと」
「…………」
「でも、敢えて言うのなら、それを知っているサリの知らない世界がここにはあるってことくらいかな」
「……わけ、わかんない」
世界は同じだ。
どこだって、この世界に変わりはない。
あたしたちが生きている今は、孤独や絶望がいつも隣り合わせで、気を抜けばすぐに闇に引きずり込まれてしまう。
そうならないように、強くならなければいけない。
自分を信じて、裏切られることになれないといけない。
それにもうあたしには希望も、同じく絶望もないのだから。