嘘つき天使へ、愛をこめて
「……サリ?」
「っ……ゴホッ……」
気持ちが悪い。
お腹の底からなにかがはいあがってくるような、とてつもなく不快な感覚に、思わず口を押さえた。
頭の先から一気に血が下がっていく。
吐きそう、と思うがいなか、あたしの視界は大きく揺れた。
「……あ、」
ダメ、あたし、こんなところで……。
「おい……っ!」
どこかで雅の焦った声が聞こえる。
ああ、もうやっちゃった。
あっさりと呆気なく遠のいていく意識の中、あたしは自嘲を零して真っ暗になっていく世界に身を任せる。
……任せるしかなかった。
でも、この雅の焦った声が聞けたからもしかしたら得をしたかもしれない。
なんて、ね。
ぼんやりとそんなことを考えながら、あたしはそのまま真っ暗な闇の中へ引きずり込まれ、意識を手放した。