嘘つき天使へ、愛をこめて
帰れない
暗い。真っ暗な部屋の隅。
ひとり膝を抱えて、空腹に耐えていた。
なにか買いに行かなくちゃ。
このままだと餓死してしまう。
ああ、でもどうしよう。
もうここから動くのも億劫だ。
どうせあたしは独りぼっち。
生きても、死んでも……孤独は変わらない。
『───強くなれ、サリ』
……強、く?
『そうだ。強くなれ。護られるではなく、護れるように。自分のことを生かせるように……強くなるんだ』
ああ、そうか。
強くなればいいんだね。
強く。
強く、強く、強く。
誰にも護られることがないのなら、あたしはあたしを護れるように。
――誰よりも……強くならなければ。