(A) of Hearts
プロローグ
地下鉄を乗り継ぎ。
人ごみにまみれ。
臭いおっさんや、どうでもいいことにギャーギャーと煩いガキたちに囲まれガタゴト通勤中。
いつもより20分ほど遅い電車は、さらに混み合っている。周囲の酸素が薄い気がしてならない。かなり目が回ります。
そんなことを思う朝のひととき。
今日も、のどかです。
日本は平和です。
こんなことを呑気に考えている自分も含め。
なぜならわたしは、本来ならば遅刻するかしないかが目下の心配ごとなはずなのです。
だけど残念ながら電車の中でいくら慌てたとしても、早く着くわけでもないのです。
遅刻するかどうかは降りてからが勝負。
ここはもう、腹を括るしかありません。
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