(A) of Hearts
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いつのまにか、こんなにも大人になっていた。
——だけど。
もしかするとずっと、変わっていないのかもしれない。
なぜならあのころから俺は、振り回されてばかりいた。だとすれば俺が成長していないのか?
「さあ、専務。もう行ってください」
まだ少女だったころのキミに会いたくなくなった理由を伝える勇気もなく。そのまま別れを選んだ俺。
いまそれを伝えれば、どうなる?
「ほら専務!」
「おお」
なぜ臭いと言って布団に入れさせなかったのか、なぜ嫌いと言ったのか。
いまそれを言えば何かが変わるのだろうか。
いや変わらない。
「なあ館野」
キミは笑うだろうか。
それとも怒る?
けれどもう、そんなことなど言えない立場になってしまった。
「——どうされましたか?」
こんなことになるのなら、あのころにきちんと話しておくべきだったかもな。
いま、何も捨てられない俺のせいで、もしキミのことを傷つけてしまっていたら、ごめん。
だけどこれだけは言わせてほしい。
「そういや、誕生日おめでとう」
「——え?」
「プレゼントはないけどな」
プレゼントどころか、名乗り出るつもりもないけれど。
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