(A) of Hearts
賽は投げられた
♡♡♡♡♡♡
日本は平和だ。
なんてさ?のんびり言っている場合などではなかったよ。
結局、薬局、引き受けることに。
話を受けてから2日目だ。
断りでもすれば、どうなるのかわかったもんじゃない。そういうところだけはなぜか外資系。さくっとクビが飛ぶことはざらにある。
さすがにいまから転職先を探すのは辛い。
まあ、個人的には外部秘書でも構わないと思ってはいるけれど、これまでの社風をわたしが変えてしまうのもどうかと思えた。
しかも友香さんへ相談すればノリノリだし。
とはいえ、わたしがなりたいと言ったところで芦沢さんが嫌だといえば話もなくなるわけで。そうなってくれることをひたすら祈るしかない。
だけどあれから芦沢さんの姿は見かけない。
部長の話によれば家探し中なんだとか。
「秘書ってさーなんかヤラシー響きだよね」
「——やめてくださいよ」
「なによ浮かない顔」
「だってわたしが秘書になるという話、まだ芦沢さんの耳に入ってないから決定じゃないんですってば」
「いいなあ」
「だから、やめてくださいって」
「こんなチャンスないよ? 美味しいモノたくさん食べれるだろうし。芦沢さんに婚約者がいなきゃ、わたしが立候補しちゃうよ」
そしてジョッキを男前に傾ける友香さん。
婚約者の話は昨日わたしが部長から聞いた。