(A) of Hearts

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どうかしている。
キミにわざわざそんなことを言われなくとも、それは自分でも百も承知だ。


「——専務」

「なんだ」

「散々な誕生日です。だけどわたし、自分も悪いと思っています」


返す言葉が見つからず息を吐きだす。
藤崎と並んで歩く姿を発見して、慌ててタクシーを止めてしまったことは運転手と俺だけの秘密だ。


「わたしここで降ります」

「は…?」

「運転手さん停めてください!!!」

「おい館野」

「降りたいんですっっ」


そしてキミの瞳が光を持った。




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