(A) of Hearts
『話がある』
「——え?」
『いまマンションの前』
な。
なんですと??
「え、えええ!!?」
ちょっと待って。
なんで!!?
『すぐ済む』
「……しょ、少々お待ちください」
どうして。
なんでここに?
家の場所は送ってもらったことがあるから知っているはずだけど…。
だって、いま何時よ。
てかわたし裸じゃん?
『べつに明日でも構わないんだけど。無理にとは言わない』
ああああ…。
そんなこと言われましても!
いつも効率的に動いている芦沢さんを、このまま無駄足に終わらせるわけにはいかないよ?とはいってもさ!
『それじゃあ明日、』
「い、いえ。すぐ出ますから!」
なんだろう!?
すぐ済むのなら電話でいいじゃんか!
なのにどうして、わざわざ…。
するとバッテリーの切れる音が。
「もしもし専務!!」
あ、焦る!
「バッテリーが切れそうです!わたし202です!」