(A) of Hearts
今日は休みだけど芦沢さんは会議で出る。
どう詰め込んでも平日に時間が取れなかったので、この日になってしまった。
だけどわたしは、すぐ電話に出れる状態なら休んでいいといわれている。これはあれこれある前から決まっていたことなので、とりあえず洗濯機のスイッチを入れた。
するとテーブルの上に置きっぱなしの書類が目に入る。
いまさらこんなの目を通してどうなるのか。
——というか、秘書辞めたらどこに回されるの?
受付はすでに新しい子が入ってるのに。
「ん?」
早速仕事用の携帯が鳴ってる。
「んんん?」
なんで塩見部長??
「おはようございます館野です」
『もしもし館野さん? せっかくのお休みに失礼いたします』
話を聞けば会議は一区切りついたものの芦沢さんの体調が優れないよう。
『いまは専務室でお休みになっております。大丈夫とはおっしゃっていましたが顔色も優れないので心配です』
「ご連絡ありがとうございます」
部長は芦沢さんを通さず連絡してくれたそうだ。というのも芦沢さんは少し休憩したら再開するつもりだとか。
だけどみんな現状の芦沢さんの激務を知っているので休んでほしいとのこと。
「よっし」
昨日あのまま横にならず、お風呂に入っておいてよかった!と、思った瞬間だ。バタバタと着替えを済ませ髪を整えてから家を出た。
会社まで50分ほど。急げっっ!
こんなときメイクの時間が掛からないわたしは得してるよね。とりあえず自分に感謝。てかママンとパパンありがとおおお!!!
——とか呑気に考えている場合じゃないんだよね。わかってるし!