(A) of Hearts

え、
うそ…っ!

そんなの相談されてもわかんない!!!
というか、普通の恋愛観ですら怪しいのにっっ!

どうすれば。
なんて声を掛ければ。


『うっそー』

「へ……?」

『騙された?』

「———っっ!?」

『あっははは楽しー』


もおおお!
なんなわけ!?
この人、全然わからないっ!
誰か助けて…っっ


『出ておいで。いいじゃん気晴らしにさ』

「……かしこまりました」


とうとう観念した。
これ以上いくら粘っても時間が経つばかりな気がするしさ。

そして駅前の待ち合わせスポットにもなっているところへ一時間後に落ち合うという約束をして電話を切った。

すぐに出自宅をはじめ早々に家を出る。
いっても向こうは社長だ。
お待たせするわけにもいかない。

とくにお洒落なんかも意識せず通勤スタイルではない休日いつも着るような服を選んだ。


「——あ」



すでに待ち合わせ場所に前田さんが待機していたのが目に入ったので慌てて駆け寄る。

だけど落ち合った瞬間に、来たことを凄く後悔。

前田さんは携帯で誰かと話していて、


「そうなんだ。いまからデート。ホントだってば。あ、館野さんきた!じゃあヒロまたな。お大事にー」


その相手が芦沢さんだった件。
嵌められたの?

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