(A) of Hearts
『それでは、また改めて、』
「あ、嘘です!」
『はい?』
わわわ。
わたしってば、なんていう言葉遣いを。
「失礼いたしました申し訳ございません。どうぞいらしてください!」
『——よろしいでしょうか?』
「ええ勿論です是非!お待ちしております!!」
『では10分ほどで、そちらに着くと思います』
「はい!」
そして携帯を切った。
友香さんはピースサイン。
「やっばい超楽しみ!!!」
「——いいんですかね?」
「なにが?」
「なにがって」
だってここは居酒屋と言ってもお洒落なところではなく、チェーン店の焼き鳥メインな大衆居酒屋だ。
「あっちが来たいって言ったんでしょ?」
「そうですけど」
「それなら問題ないっしょ」
「そうかなあ」
「いきなり会社で堅苦しく対面するより、さきにこういうとこで会っておいたほうがいいに決まってるじゃん」
それはたしかに。
一理ある。