(A) of Hearts
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俺の目の前で青くなったり赤くなったり。
こういうの、ほかの奴の前でも見せているんじゃないのか?
なんなんだ。
頼むよホントさ。
キミの性格上、もっと遊んでいるのかと思っていたけれど、そうでもない? まさかこれまでずっと、本気で匂いを気にしていたとか?
「睨むなよ」
「に…っ? 睨んでなどおりませんっっ」
「キスするぞ」
「えええ!!?」
抑えきれないのは前田じゃなく俺か?
「あまり俺を苛めるな」
「え、ええっと。ど、どういうことでしょうか?」
溜息を吐き出した。
「ヒロは館野のことが好きだった。我慢できないほど欲情してしまった。だから館野が寝た布団は干すほど臭くなるから寝れない、大嫌い。と言った」
「……」
「可哀相なヒロ」
「うそ」
「それ以外ないだろ」
「——違います」
「そうだ」
「違いますよ。そうじゃないです。だってわたし、専務にそこまで話してませんもん」
「……」
「もしかして専務、」
「寝言で言ってたぞ。よだれ垂らしながら」
「ええええ!!!???」
あ、焦った。
どうにか切り抜けた。
「——ですが専務」
「なんだ」
「もし、専務がおっしゃった通りなら嬉しいです。じつはわたし、ヒロが好きだったんですよ」
「……」
ちょっと待て。
これヤバイかも。
どうする、俺。
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