(A) of Hearts

♧♧♧♧♧♧


俺の目の前で青くなったり赤くなったり。

こういうの、ほかの奴の前でも見せているんじゃないのか?

なんなんだ。
頼むよホントさ。

キミの性格上、もっと遊んでいるのかと思っていたけれど、そうでもない? まさかこれまでずっと、本気で匂いを気にしていたとか?


「睨むなよ」

「に…っ? 睨んでなどおりませんっっ」

「キスするぞ」

「えええ!!?」


抑えきれないのは前田じゃなく俺か?


「あまり俺を苛めるな」

「え、ええっと。ど、どういうことでしょうか?」


溜息を吐き出した。


「ヒロは館野のことが好きだった。我慢できないほど欲情してしまった。だから館野が寝た布団は干すほど臭くなるから寝れない、大嫌い。と言った」

「……」

「可哀相なヒロ」

「うそ」

「それ以外ないだろ」

「——違います」

「そうだ」

「違いますよ。そうじゃないです。だってわたし、専務にそこまで話してませんもん」

「……」

「もしかして専務、」

「寝言で言ってたぞ。よだれ垂らしながら」

「ええええ!!!???」


あ、焦った。
どうにか切り抜けた。


「——ですが専務」

「なんだ」

「もし、専務がおっしゃった通りなら嬉しいです。じつはわたし、ヒロが好きだったんですよ」

「……」


ちょっと待て。
これヤバイかも。

どうする、俺。


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