(A) of Hearts

「お願い!!イメージにピッタリ!!!」


どうやらわたしをステージに上げたいようだ。だけどそんなことを急に言われても困るよ?


「着てみれば?」

「へ……?」

「姉貴が言うなら間違いないよ」

「し、しかし」


周りを改めて見渡すと下着姿の女性が普通に歩いていたり場違いこの上ない。なんかホントどうしよう。


「お願い!!!」


顔の前でパチンと手まで合わせてきた。


「ね???」

「——わたしなんかでよけれ、れれれれ???」


返事を言い終わる前に腕をぐいぐい引かれ、なんだか手荒い子どものぬいぐるみにでもなってしまったかのように、あちこち連れまわされる。


「名前は?」

「た、たた館野千尋ですっ」

「それじゃあ千尋ちゃん早く脱いで」

「えっ」

「これ下に着て」


ちょっと待って。
待ってよプリーズ。


「早くっ」

「こ、ここでですか?」

「そうよ」


う、嘘でしょ。
こんな人目のあるところで、ここで脱げとおっしゃるのですか!


「——あの」

「早くしてね」


さ、さすが前田さんのお姉さま。押し付け具合が半端ない。

だけど落ち着いて周りをよく見れば、この部屋自体が更衣室。どうりでさっきから下着姿の女性があちこちバラバラいるわけだよ。

と、いうかさ?こんなところに平然とした顔でいる前田さんて一体なんなの!! 


「早く脱いで」

「は、はいい!!」


でもちょっと待って!
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