(A) of Hearts
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「ねえヒロ? そろそろ終わりかな?」
ステージに顔を向けたまま口を開く彼女。眩しい光が反射して瞳が光る。
「そろそろだろ」
「——きゃッ!」
悲鳴にも似た小さい声。
視線はステージの上。
「ねえほら見てヒロ、あの子ってさ?」
目にした光景に息を呑みこんだ。
真っ赤になって恥ずかしそうに、だけども楽しそうに笑いながら舞台上を歩くキミ。
そして前田に抱きかかえられ頬に口づけされる。
「ヒロの秘書の、館野さん? だっけ?」
「……」
「ヒロ?」
「——ああ、うん」
「サプライズ!しかも相手はアツ!!」
信じられない。
なんだこれ。
歓声や拍手に包まれるキミ。
「わ!!!!」
スポットライトが俺たちの元に。
「やだヒロ。なんかどうする?」
こっそり耳打ちする彼女。
ステージ上のキミは、そんな俺たちに視線を向けた。
それからキミは前田に向かってなにかを訴える。けれどそれも頬へのキスで交わされ口をへの字にして涙を流した。
その姿がジャレているようにでも見えたのか会場から拍手が湧き起こる。
隣に座っている彼女ですら、つられるように手をパチパチと合わせた。
「こっちにくる!!」
やめろ。
やめてくれ。
「お幸せに」
そしてキミは手に持っていたブーケを彼女に向かって差し出した。
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