(A) of Hearts
「彼氏は?」
「——え」
「こっちのスケジュールや行動は、これからすべて秘書に筒抜けだ。だからお前のも、俺が知っておくべきだろ?」
なにそれ。
超セクハラじゃん。
「おい」
「いません」
「嘘つくなよ」
「ついておりません」
「マジでいないのか?」
「悪いんですか!?」
「——へええ」
なんなのよ。
どこか小馬鹿した感じで煙草の煙を吐き出しす芦沢さん。
てかわたし。
いつから記憶ないの?
そんなに飲んだっけ?
「あの、大変申しあげにくいのですが…。記憶が飛んでいます。ご迷惑をおかけいたしました」
「まったくだ」
「なにも覚えていません」
「ヨダレ垂らして、ぐーすか寝てたからな」
うそマジで?
信じらんない。
お酒って怖い。などといっている場合ではない。
「なんとお詫びしてよいのやら」
どうすればいいのだろう。
わたしクビになっちゃうのかな。