(A) of Hearts

「彼氏は?」

「——え」

「こっちのスケジュールや行動は、これからすべて秘書に筒抜けだ。だからお前のも、俺が知っておくべきだろ?」


なにそれ。
超セクハラじゃん。


「おい」

「いません」

「嘘つくなよ」

「ついておりません」

「マジでいないのか?」

「悪いんですか!?」

「——へええ」


なんなのよ。
どこか小馬鹿した感じで煙草の煙を吐き出しす芦沢さん。


てかわたし。
いつから記憶ないの?
そんなに飲んだっけ?


「あの、大変申しあげにくいのですが…。記憶が飛んでいます。ご迷惑をおかけいたしました」

「まったくだ」

「なにも覚えていません」

「ヨダレ垂らして、ぐーすか寝てたからな」


うそマジで?
信じらんない。

お酒って怖い。などといっている場合ではない。


「なんとお詫びしてよいのやら」


どうすればいいのだろう。
わたしクビになっちゃうのかな。

< 23 / 222 >

この作品をシェア

pagetop