(A) of Hearts
「おい、もっと端っこ寄れ」
「いや、えっと、あの!わたしソファーで寝ます!」
「上司命令」
「ですが」
「端っこ行けよ」
「あの……」
「ギブ眠い」
そしてバタンと芦沢さんの体が降ってきた。
「ひぃ…っ!!!」
ちょ、ちょ、ちょ、
ちょっとおおおおおおお!!!?
「あ、ああ、あ芦沢さんっ」
だけど返答はなく。
「芦沢さんっ!!!」
やっぱり返答がない。
本気で困った!
「起きてください!」
いや、寝たほうがいいんだけど。
だけどさ。
「芦沢さん!」
「——べつに臭くない。寝ろ」
起きてるの!?
「寝れません!!」
「俺は寝る。じゃあ、おやすみ」
「——っっ!!!」
ちょっと待ってよマジですか。
どうしよう!
ヘンな汗出る!!!
しかも心臓がヤバイよ!?
潰れてしまうっっ!!!
「ちょ…っ!」
だけど芦沢さんは、こんな状態で無神経に微かな寝息をたてはじめた。
うう。
まじですか。
よほどお疲れなのですね。
しかしですね…。
「芦沢さん……」
間近にある顔。
体に圧し掛かる左手、だけじゃなく。わたしの顔に息が掛かっているんですがっ!
「……起きてください」