(A) of Hearts

これでよし。
だけど、びっくりした。

だって男の人と同じ布団で寝るだなんて、大冒険もいいとこだよほんと。


それが婚約者のいる男で、しかも上司とか!? いやいやホントありえないんですけど。

まったく、なんでこんなことに。


「——はあ」


溜息を吐きつつ、すぐそこにある芦沢さんの背中を眺めれば、上着を脱いだだけでスーツのシャツのままだ。

ふたりして服を着たままベッド。


あ、けどこれは、わたしが悪いのか。すごい迷惑かけちゃったかも。

というか芦沢さん、本当に臭くないのかな。それをも感じないほど疲れてるとか。


ああ。だんだん申し訳ない気持ちなってきたよ。なので布団を芦沢さんの肩まで掛けてあげた。


さて。
あと1時間ちょっと。
こりゃ寝れないな。


そして天井を眺めつつ、勤務中の1時間よりもうんと長く感じる時間をぼんやりやり過ごした。

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