(A) of Hearts
嬉しくて、ドキドキして、不安で、怖くて、頭の中がグルグルだけど、どこかで安心してるのは頼りある芦沢さんがいるから。
だけど、そんな芦沢さんに余計な心配をさせていられない。
なぜならサポートされる側ではなく、わたしがサポートしなければいけないほうなのだ。
こんにちは!
新しいわたし!!
「——ガキ」
「え…っ!」
「浮上早すぎ」
「よかったら、これも買ってくださいよ」
「甘えるな」
呆れた声でそう言い、それから笑う。
なんだか胸がぎゅうってなった。
ドキドキするよ。
「行くぞ。あとは靴だ」
「はい!」
ホントはわかってる。
もう気づいている。
わたしは芦沢さんに惹かれている。
きっとそれは上司としてではなく、どこかヒロに似ているからでもなく、ただの男として。
どこかで否定したくて、認めたくなくて。なのに認められたくて。そんな矛盾した気持ちに挟まれていた。
だけどそれは芦沢さんには婚約者がいるのだから当然だ。