(A) of Hearts

ああああ。
告白なんてされたら、どうしよう!!


「——ふう」


ドアをノックした。
すると中から部長の声。

ノブに手を掛ければ微かに指先が震えてるし、ちょっと冷たくなっていた。


「失礼いたします」


やだなあ。
ドキドキする。

いや、恋愛とかのドキドキじゃなく。
なんていうのか、とりあえずドキドキ。
だってこんなの、はじめて。
会議室だって、はじめてな勢いだし。


「やあ」

「申し訳ございません。お待たせいたしました」

「いやいや、構わないよ。それより、わざわざ悪いね」

「いえ」


雰囲気的に告白じゃなさそう。
それならなに?

まさかクビとか?違うよね。
だけど、もしかして。


「ところで館野さん。最近受付はどう?」


挨拶もそこそこに口を開いた部長。それとも、これも挨拶ついでなのかも。

しかし困った。


「どう、とは?」

「楽しいですか?」

「ええ、ハイ」


そりゃもちろん。
いまここで、ふたりっきりのわけのわからない時間を過ごすよりは何万倍も。

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