優しい吐息






「はぁ……。」

天井を仰ぐ。
何度やっただろう。
そこに君がいる気がして。

「何処にいるの……?」

バカみたい。
本当は、死んだってわかってるくせに。

「バカだよね……。」


―――――三ヵ月後。


“ザザーーン。”

「じゃあ、始めるよ!!」
「はい。」

私は競泳用の水着を着ていた。
中退して、ライフセーバの資格を取った。

相変わらず辞められないリストカット。
祐太だって現れない。
でも、海にいるときだけ
祐太と一つになれてる気がした。

「ほら、ちゃんと漕いで!!」
「人の命が懸かってんだぞ!!」
「すいません!!」

汗をかいて、海を睨んで。
頑張って人を助けたら
祐太が喜んでくれてる気がした。

「…………来た。」

波に乗る。
飲まれないように力を込める。
そして……。

“ザザーーーン!!”







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