優しい吐息
“ゴトゴトッ!!”
荷物が投げ出される音がする。
私は眉間にしわを寄せながら目を開けた。
「お、やっと起きたか。」
「今何時ですか?」
「6時。」
「やっとじゃない~っ。」
「はははは。」
辺りを見回す。
遠く、近くに海が見える。
何だか不思議な感覚。
「お前、浜で寝ちまって。」
「す、すいません。」
不思議だった。
何かが、抜けている気がした。
「祐太帰ってきました?」
「祐太?」
「はい。」
首を傾げられて、鳥肌が立った。
「……誰だよ、それ。」