優しい吐息
「…………」
「風、止みませんね~」
何で私はここにいるんだろう?
何時の間にか足が海に向いて
私はここの海の家で働くようになった。
いったい何がきっかけだった?
ここに、貴方がいるはずなんてないのに。
どうして?
「そうだね……」
「あ!そういえば知ってます?」
「何を?」
ニコニコ笑うバイトの男の子。
少し年下の阿藤栄太くん。
その笑顔は彼に似ていて
時々私は胸を痛めた。
此処に来ないでなんて、言えない。
大切な仲間を失うのは、怖い。
「明日から、伝説の人来るんですよ!」
「……伝説の人?」
「伝説のライフセーバーです!」
目を輝かせているのも
綺麗な声で話すのも。
全て。
「こんにちわ~す!」