テンポラリーラブ物語

 金髪のヒョロヒョロとした外国人男性を囲んで、その周りに男性が4人、なゆみをいれた女性が2人、合計7人が団体で歩いている。

 なゆみは一生懸命外国人に何かを話して、それに反応するように周りが大笑いしていた。

 氷室の目から見ると、なゆみは人を笑わせおどけた感じに見えた。

 もう一人の女性は後をついていっているだけで落ち着いている。

 残りの4人の男達は大きな声で笑い、ノリがよく、なゆみは違和感なくそこに混ざり込んでいた。

 それはまるで男同士に見えたくらいだった。

 やがてなゆみは一人の男性の側に寄って肩を並べて歩き出した。

 なゆみより少し背が高いが、氷室から見れば低く感じ、つい自分と比べてしまう。

 その男は、時折なゆみに振り返り、楽しそうに話しながら歩いているから、ふんと訳も分からなく蔑んで見てしまった。

 特徴が他にないか隠れて観察を続けていると、メガネをかけている事に気が付いた。

 メガネ男子。

 どこにでもいそうな無難さを思い浮かべ、勝手に顔を想像してみる。

 まあ大した事はないだろう。

 しかし、なゆみはじゃれ付く子犬のように、その男と嬉しそうに話していた。
 
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