テンポラリーラブ物語
2
「へぇ、このビルの地下でアルバイトしてるのか」
「うん、坂井さんも来て下さいね。面白いところですよ」
「おっ、行く行く。それで働き出してどんな感じ?」
なゆみは暫く坂井と会話が弾む。
だが時々ジンジャにちらりと視線を向けていた。
「それが、ちょっと苦手な怖い上司が居て、気が抜けない感じかな。でも噂に聞くほど悪いイメージはなかった」
「おい、一体どんな噂が流れてるんだよ」
坂井はジンジャよりもお調子もので、なゆみへのリアクションは大げさに表現する。
このときも、漫才師の突っ込みのように歯切れよく質問する。
噂──
まだ働いて二日目だが、この日ミナと紀子からそれとなく耳打ちされたことがあった。
氷室が専務と仲のいい友達であり、気を許さない方がいいこと。
そして氷室は極端に従業員と距離を保ち、態度が冷たいのが日常茶飯事であること。
またきついことを言われても気にしないこと。
なゆみはそれらの聞いたことを笑いながら伝えていた。
「なんか怖そうなとこだね。もしいじめられたりしたら俺に言えよ。怒鳴ってやるから」
「やだ、坂井さん、そんなのできないよ。でもありがとう」
坂井は守ってやりたいとアピールしていたが、なゆみはノリのいい冗談だと受け取った。
ジンジャは静かにそのやり取りを見ていた。
「へぇ、このビルの地下でアルバイトしてるのか」
「うん、坂井さんも来て下さいね。面白いところですよ」
「おっ、行く行く。それで働き出してどんな感じ?」
なゆみは暫く坂井と会話が弾む。
だが時々ジンジャにちらりと視線を向けていた。
「それが、ちょっと苦手な怖い上司が居て、気が抜けない感じかな。でも噂に聞くほど悪いイメージはなかった」
「おい、一体どんな噂が流れてるんだよ」
坂井はジンジャよりもお調子もので、なゆみへのリアクションは大げさに表現する。
このときも、漫才師の突っ込みのように歯切れよく質問する。
噂──
まだ働いて二日目だが、この日ミナと紀子からそれとなく耳打ちされたことがあった。
氷室が専務と仲のいい友達であり、気を許さない方がいいこと。
そして氷室は極端に従業員と距離を保ち、態度が冷たいのが日常茶飯事であること。
またきついことを言われても気にしないこと。
なゆみはそれらの聞いたことを笑いながら伝えていた。
「なんか怖そうなとこだね。もしいじめられたりしたら俺に言えよ。怒鳴ってやるから」
「やだ、坂井さん、そんなのできないよ。でもありがとう」
坂井は守ってやりたいとアピールしていたが、なゆみはノリのいい冗談だと受け取った。
ジンジャは静かにそのやり取りを見ていた。