別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
アイケー産業へのお使いを済ませ、真っ直ぐにオフィスに戻った。

奏人はまだ戻っていないけど、指示されている仕事があるからのんびりも出来ない。

一息つく間もなくパソコンの電源を入れ、仕事を始める。

だけど、奏人のことが気になって、作業の手を止めては物思いに耽ってしまう。

あの女性は誰なんだろう。

一見、普通の常識的な女性に見えたけど、少しだけ違和感を覚えた。

奏人の浮かない表情と、私を無視する女性の態度。

もしかしたら、奏人の昔の彼女なのかな?

気まずい別れ方をしたか何かで、奏人は強張った顔をしていたとか?

女性の方は元カレとの再会に動揺するあまり、私に気がつかなかったのかな……。

考えを進めて行くうちに、あの女性が奏人の元カノなことは間違いないような気がして来た。

そう思う決定打は、奏人が急に私に対して他人行儀になったこと。

あの女性に私と仲が良い所を、見られたくなかったんじゃないの?

……なんだかもやもやした気分になる。

今の私が、奏人の女性関係にあれこれ言う資格は無いんだけど。


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