別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
「ちょうど飲みたかったんだ。梓って間の良い女」
いつもと代わり映えのしない定番の料理を頼み、ビールで乾杯すると私はご機嫌で言った。
沢山飲んでモヤモヤを解消する気満々だ。
だけど、今日梓が誘って来たのは、たまたまだった訳じゃなかったようだ。
「私、出張から今日帰って来たんだけど」
「そう言えば、札幌支店に行くって言ってたよね、いいなあ北海道……」
私は残念ながら一度も行ったことがないんだけど、テレビで見る札幌の街並みに結構憧れている。
「北海道はどうでもいいの! それより理沙の部署に入社した社長の息子って、“あの奏人君”なの?」
梓はずいっと身を乗り出して来る。
急な誘いの理由は素人の件か。
それにしても、今日出張から戻って来たばかりなのに早くも知っているなんて。
その情報収集力に感心しながら、私は頷く。
「そうなの。驚いちゃった」
「驚いたじゃないわよ! 何で言わないの?」
「何でって言う機会が無かっただけだよ」
いつもと代わり映えのしない定番の料理を頼み、ビールで乾杯すると私はご機嫌で言った。
沢山飲んでモヤモヤを解消する気満々だ。
だけど、今日梓が誘って来たのは、たまたまだった訳じゃなかったようだ。
「私、出張から今日帰って来たんだけど」
「そう言えば、札幌支店に行くって言ってたよね、いいなあ北海道……」
私は残念ながら一度も行ったことがないんだけど、テレビで見る札幌の街並みに結構憧れている。
「北海道はどうでもいいの! それより理沙の部署に入社した社長の息子って、“あの奏人君”なの?」
梓はずいっと身を乗り出して来る。
急な誘いの理由は素人の件か。
それにしても、今日出張から戻って来たばかりなのに早くも知っているなんて。
その情報収集力に感心しながら、私は頷く。
「そうなの。驚いちゃった」
「驚いたじゃないわよ! 何で言わないの?」
「何でって言う機会が無かっただけだよ」