別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
「同情しているみたいだけど、理沙の場合そうも言ってられないわよ」

「え、どうして?」

「松島さんね、滝島課長が結婚した後宣言したらしいの。彼よりもレベルの高い男と絶対結婚するって。でもそんな男は現れず今でも独身なんだって」

「そうなんだ」

「そんな中、同じ部署に次期社長候補が現れたらどうすると思う?」

梓の言葉に私はハッとして目を見開いた。

「だから奏人を?」

「噂が真実ならそうだと思う」

今までの松島さんの言動を思い出す。

「……その話、限りなく真実なんじゃない? 誰に聞いたの?」

「山之辺室長」

「それって噂じゃなくて、当時見てたんじゃないの?」

山之辺室長は梓の所属する開発部のトップ。

社歴二十五年の大ベテラン。当然社内のことは何でも知ってるだろう。

ああ、前途多難だ。

これから奏人とどうなるか分からないけど、松島さんが奏人に執着しているのは間違いない。

「困ったことが起きたら言ってよ。私も協力するから」

「ありがと」

頼もしい親友の言葉はありがたい。

だけど、トラブルにならないのが一番だ。

何事も無く済めばいいんだけど。


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