別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
次の日は土曜日。

泣きながら寝たせいか、朝起きたら目蓋が酷く腫れていた。

人に会う予定も無いから、まあいいやと、顔を洗った後は冷やす事もせずに放っておく。

休みの日は奏人と過ごす事が殆どだったから、一人の週末は久しぶりだ。
何をしようか少し迷ったけど、特に出かけたい所も無いし、土日は家でゆっくり過ごす事に決めた。

スーパーで買い物をしてから図書館に行って、本を借りて来よう。
そして好きなだけ読書をして、ひたすらのんびり過ごすんだ。

朝食に、買い置きのロールパンを食べてから、簡単に部屋の掃除と洗濯を済ませ、アパートを出た。



今日は天気がいい。
晴れ渡った青い空が広がっている。

スーパーも図書館も駅の近くに有り、私のアパートからは歩いて十五分くらいかかる。
少し遠いけど、街路樹が並ぶ広めの道は綺麗で歩きやすいし、面倒には感じない。

この道は奏人と何度も通ったな……私も奏人も、遠出するより家でのんびり過ごすのが好きだったから、お互いのアパートで一緒に料理をしたり、映画を見たり。

奏人が私の部屋を気に入っていた事も有って、私のアパートで過ごす事が特に多かったな。

だから、部屋の中も外も、奏人との思い出に溢れている。

付き合っていたのは一年だけど、奏人は私の生活に完全に入り込んで、凄く大きな存在になっていた。

何をしていても、直ぐに思い出が浮かんでしまう程に。
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