別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
久しぶりのキス。

触れ合うだけのものなのに、まるでファーストキスのときのように緊張してしまう。

鼓動が速くなり、頭の中は奏人のことで占められる。

奏人も緊張しているのかな?

そう思いながらゆっくりと目を開くと、私を見つめていた彼と視線が重なった。

だけど、奏人の瞳は予想していた緊張を含んだものではなく、欲情に溢れているような、鋭いもの。

え……と思う間もなく、今度は荒々しく唇を塞がれた。

奏人の手は私の背中と後頭部に回っていてるから逃げようもない。

二人の間の隙間なんて一切ない程強く抱きしめられながら、唇を貪られる。

息苦しくなって口を開くと、すかさず奏人の舌が割り込んで来る。

「んんっ……」

思わず声を上げると、唇への蹂躙は更に激しくなった。

時々息継ぎはさせてもらえるけど、また直ぐに深いキスが始まる。

いつの間にかソファーの上に押し倒される体勢になっていて、両手も掴まれ一切の身動きが出来ない状態。

奏人は私の唇を甘噛みしたり、舌を絡めて来たりと、激しく攻めて来る。

付き合っていた頃よりもずっと激しい強引なキスなのに、朦朧としてしまう程気持ちが良かった。

もう何も考えられない。

「里沙、愛してる」

奏人の声が遠くで聞こえるみたい。

私も好きだと言いたいけど、直ぐに唇を塞がれてしまうので声が出せない。

漸く解放された後は、奏人の手と唇が私の身体中を這っていて、私はもうまともに言葉を紡げない状態になっていた。

その夜はただひたすら奏人に縋りついて、高い声を上げ続けた。

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