別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
どうしてここに朝美さんが?

しかも奏人じゃなく、私に話しかけて来たのはなぜ?

混乱している私に、彼女は無遠慮な視線を投げかけてくる。

「あ、あの……私に何か?」

奏人から過激な人と聞いているせいか、弱気になってしまう。

対照的に朝美さんは自信満々といった、悪く言えばふてぶてしい様子。

「あなた名前は?」

え、いきなりその質問?

考えてみると、名前も知らない相手の肩を遠慮なく掴んでくるなんて、凄い厚かましさだ。

やっぱりこの人、少しおかしいと思う。そんな相手に名乗りたくない。


黙っていると、朝美さんが苛立ったように舌打ちした。

「口が利けないわけじゃないわよね? 奏人とにはペラペラどうでもいい事を話しかけてるんだから」

どうでもいい事って失礼だし、そもそもなんで会話内容まで知ってるの?

引いてる私に気付かずに、朝美さんは声を大きくする。
< 152 / 208 >

この作品をシェア

pagetop