別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
興味津々の人達から解放された時は、ぐったりだった。

ヨロヨロになってホテルを出て、奏人と合流する為、待ち合わせ場所の駐車場に向かう。

奏人が抜け出せるか心配だったけれど、十分もしない内に来てくれた。

車に乗り込むと、漸く一息つけた。

「大丈夫?」

「大丈夫じゃない。まさか奏人が婚約してるって言うとは思わなかったよ。上手く誤魔化すと思ったのに」

今思い返せば、奏人なら上手く切り抜けられたんじゃないかと思う。
だけど奏人はしれっと言う。

「理沙との事で嘘は言いたくない。理沙だって俺に正直で誠実であってほしいって言ってただろ?」

「そ、そうだけど!」

でも今回に限っては、ちょっと嘘ついて欲しかったのに、なんて思ってしまう。

「俺は正直に言えて爽快な気分だよ」

「どうして? からかわれるかもしれないし、私生活が乱れてるって思われるかもしれないよ?」

「適当に付き合ってる訳じゃく婚約なんだから乱れてるなんて言わせない。からかわれるのは問題ない。むしろ理沙が俺のものだって公表してる事で余計な心配が減っていい」

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