別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
堂々と言い切る奏人に、それ以上言える事はなかった。

だけど納得いかなくて膨れていると、奏人に優しく頬をつつかれた。

「機嫌直せよ」

「だって……」

「今日は疲れたし、外食しようか?」

「私はどっちでも……」

「理沙が気になってた海辺のレストラン予約した」

「えっ!本当?」

怒ってたのも忘れ飛びついた私に、奏人はクスリと笑う。

「何注文するか考えとけよ」

奏人はそう言うと車を発進させる。

地下駐車場から滑らかに地上へ出て、それから暗くなった街を駆け抜けて行く。

高速に乗ってスピードは更に上がる。
お気に入りの音楽。
楽しそうな奏人の横顔。

だんだんと、まあいいかって気分になる。

本当に惚れた弱み。
怒りが継続しないのだ。

明日からの会社生活が心配ではあるけど、それ以上に幸せだった。
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